アルツハイマー型認知症――この言葉を知らない人は、もはや少ないかもしれません。
(少なくとも、このサイトに来てこの記事を読んでいるあなたは、ご存知のはず)
自身がかかっていなくても、親や家族、親族、友人知人など、あなたにとって身近な人が、この病気にかかっている、あるいは、そうではないかと心配している?
さて。今月9月は「世界アルツハイマー月間」です。
もともとは国際アルツハイマー病協会( ADI)と世界保健機構(WHO)が1994年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定したことに始まり、2012年から9月を「世界アルツハイマー月間」と定めました。
アルツハイマーや認知症への理解を呼びかけ、患者や家族に援助と希望をもたらすことを目的にしています。
日本では主に、公益社団法人認知症の人と家族の会が活動の中心となり、さまざまな啓発活動、講演会、患者会、家族会などに取り組んでいます。
「アルツハイマー」は認知症の代名詞のようになっていますが、高齢期(65歳〜)がかかる脳の病気が認知症と言われ、正確には「アルツハイマー」は認知症の種類の一つで、「アルツハイマー型認知症」です。
「認知症」で話を進めるならば、
高齢者(65歳以上)の4人に1人は認知症または軽度認知障害(MCI)(2012年時点)というデータがあります。2019年の研究結果による推測データでは、現在(2020年)は602万人、「2025年問題」を迎える2025年は675万人という認知症有病率です。
どんな病でも予防、そして早期発見、早期治療を謳うように、それは認知症についても同じ。ただ当人が気づきにくいこと、あるいは積極的に認めたくない心理的な働きも加わり、周囲の人が「あれ?」と思うことがきっかけに診断となることが多いです。
心配する相手が親なのかパートナーなのか、友人知人、親族なのか、あなたとの関係性の濃度や距離感もありますが、普段の様子をよく知っている相手ならば、
以下のことがないか、様子を見てみましょう。
□物忘れがひどい
:同じことを何度も何度も言う、問う、する
財布、通帳、衣服、大事な物を盗まれたと人を疑う
□判断、理解力が衰える
:料理ができなくなった、味付けが変わった、片付けや計算、運転などのミスが増えた
話の辻褄が合わない
□時間や場所がわからないことがある
:慣れた道なのに迷うことがある
約束の日時や場所を間違えるようになった
□人柄が変わる
:些細なことで怒りっぽくなった
頑固になった
「様子が変わった」と周囲から言われる
□不安感が強い
:「頭が変になった」「バカになった」と本人が訴える
外出時、持ち物を何度も確かめる
□意欲がなくなる
:身だしなみを構わなくなる(着替えない、入浴しない、髪をとかさないなど)
趣味や好きなことに興味を示さない
ふさぎ込んで何をするのも億劫がる
(公益社団法人認知症の人と家族の会
『家族が認知症ではないかと心配しているあなたへ』から一部抜粋)
他にも、
「食パンがいくつもいくつもある」「卵ばかりが多い」「大根ばっかり買ってる」など(食品に限らずティッシュなども)、同じものばかり買い込んで、異常に量が多いのを目撃して、「あれ?」と思ったという話も聞きます。
夏季休暇や年末年始なの休みなどで、帰省して実家に帰ると、「あんなにきれい好きだった母のはずなのに、部屋がすごい散らかっていて汚くなっている」ことに驚き、ショックを受けた、という話も。
これまでと様子が違う、というのはサインです。
「高齢だから」「たまたま」と見過ごさないで、
親やパートナーなど家族に対して、友人知人に対して、あなたが感じた違和感は大事にしてほしいです(あなただから気付けることなのだから)。
違和感を感じ、様子を見ていて、それでも気になるようなら、専門医を受診しましょう。認知症の早期発見なら治療で進行を遅くできます。また認知症でなくても他の病気の可能性を発見することにつながります。診断されれば、次の一手を打つことができます。悶々と想像し続けて不安に思ったりイライラしているより建設的です。認知症は病気なので、治療を受ければ、健やかな穏やかな時間をより長く過ごすことができるはずです。
ただし、当人は「物忘れ外来」とか「認知症」など名を聞くと強く拒否することもあるので、専門医の受診は難易度が上がります。ここはストレートに行くよりも嘘も方便、『健康診断』『自分の受診に付き合って』などなど、直接的な言葉は使わずに理由をつけて病院まで連れて行くのが賢明です。
アルツハイマー型に限らず、認知症は忘れていく病。
いつか忘れられてしまうのかも、と思うと切なくなります。その思いを噛みしめながら、もし忘れられてしまっても、新たな関係を一つ一つ積み上げていけるものという希望が持てるかもしれません。
そして、忘れていく、わからなくなっていく、できなくなっていく当人もまた、辛く苦しく不安に思っているのです。
私が個人的に思い出すのが、「バカになってわかりません、ごめんなさい」「この悪い頭がいけないんだ、すみません」と謝る認知症の高齢者の方々のお顔です。その方たちは悪くないんです。病がそうさせてます。でもそれがわからずに、わからなくなっていくご自分をどれだけ不安に思っているのだろうと想像すると、言葉に詰まります。
認知症になってわからないことが増えても、人としての感情は残ります。喜怒哀楽は、私たちと同じにわき起こること。その感情をできるだけ一緒に味わい、楽しみ、共有し、共に歩みたいです。
参考資料:
公益社団法人認知症の人と家族の会
岡田坦子
今感じている日々!
いかに上手認知症?にはいれるのか?
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人生は続く〜認知症になったら「おしまい」なのか? | ライツフォーグリーン
[…] 9月の4連休中の21日は「世界アルツハイマーデー」でした(偶然にも第3月曜日で、日本では「敬老の日」でもありました)。そして9月は「世界アルツハイマー月間」です。このキャンペーンについては、前回こちらで書かせてもらったので、詳しくはそちらを読んでいただければ(初期認知症の症状について紹介しています)。 […]