1991年、薬物・アルコール依存症の女性をサポートするダルク女性ハウスが生まれました。その立ち上げを手がけたのが姉の上岡陽江。今年で30周年となりました。
同年、姉の活動に刺激を受けた弟の裕は、地球環境問題をテーマに活動することを決め、8年勤めたソニー・ミュージックエンタテインメントを退職し、米西海岸のバークレーへ。
2000年、環境問題をテーマに活動するライターとなった裕はNPO法人エコロジーオンラインを立ち上げ、生まれ故郷である栃木県佐野市で活動を始めます。2002年にはダルク女性ハウスもNPO法人として認証を受け、20年にわたって姉弟でNPO法人の運営にあたってきました。
エコロジーオンラインが立ち上げ当初から大切にしたのが、地球環境問題を「自分事化」するということ。この背景にあったのは上岡陽江の「当事者研究」の考え方です。薬物やアルコールに依存することで生き抜く女性たちと、化石燃料に依存して地球温暖化をもたらす現代人の姿が似ていると感じ、その依存からどう回復するかを当事者として研究する姉たちの活動に共感をしたことがきっかけです。
その後、姉と弟が関わる2つのNPO法人は頻繁に意見交換を繰り返しました。東日本大震災でトラウマを抱えた女性たちの支援やハームリダクションの啓発などで社会福祉・ジェンダー・環境保護・途上国支援などの壁を越えた協働を続け、複数の問題が入り組んでいる現場に直面してきました。一つの課題に向き合うだけでは持続的な解決につながらない。
まさに「持続可能な開発目標(SDGs)」で重要とされている「17のゴールの同時解決」です。
地球温暖化問題は世界各地に大雨や洪水、森林火災などの被害をもたらし、途上国では異常気象で苦しむ人も出始めています。まさに気候変動の前ではすべての人が当事者であると言えるでしょう。困難に立ち向かう人たちに手を差しのべるのは、他者に対する「愛」であるだけでなく、自分への「癒し」にもつながります。
SDGsを一時のブームとして形骸化させないために何が必要なのか?
私たちの体験を通して見えてくる“愛のサステナビリティ”について語っていこうと思います。
“愛のサステナビリティ”講座モデル
SDGs入門 | 上岡裕 | SDGsを理解する入門講座。課題解決の現場の事例をあげながらわかりやすく解説します。 |
ジェンダーとスティグマ | 上岡陽江 | ジェンダー平等を達成するうえで重要になるのは女性が抱えるスティグマの存在です。生きづらさを生む原因は何なのかを考察します。 |
インクルージョンの本質 | 上岡陽江 | パラダイム転換が不可欠な障がい者雇用の問題を当事者研究の立場から考えます。 |
SDGsの統合性 | 上岡裕 | 気候変動による異常気象で飢餓・貧困が止まらないマダガスカルをテーマにSDGsのゴールがどのように相互に関係するかを考えます。 |
トークセッション | 上岡陽江・裕 | SDGsを達成するための現場から見えてくる“愛のサステナビリティ”を語りあいます。 |