
自分が理事長を務めるエコロジーオンラインでは「アクション!SDGs」というキャッチフレーズのもと、国連が呼びかける持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた事業を推進している。
こうしてSDGsを掲げるようになった理由はメインの事業である地球温暖化防止を解決するために途上国の貧困問題の解決が必要になるからだ。
自分たちが支援するマダガスカルでは大規模な森林破壊が起きている。伝統的に行われている焼き畑の問題に加え、薪や炭などを燃料として利用するために木が切り倒される。その結果、薪や炭が希少となり、価格が高騰し、貧困の状態にある人々の家計を直撃する。再植林が必要となる持続的な森林の経営は遠のくばかりだ。
貧困に輪をかけるのが地球温暖化だ。気温の変化が1.5℃を越えるとアフリカや西アジアが飢餓の危機にさらされることがわかっている。
地球温暖化は化石燃料の燃焼によって起こる。マダガスカルのような小さな国は地球温暖化への貢献度は少ない、エネルギーを大量消費する先進国が輩出した温室効果ガスが途上国の飢餓や貧困を加速させる。
このように地球温暖化の問題と途上国に貧困や飢餓の問題は切っても切り離せない。だからこそSDGsに掲げられた17の目標の同時解決が必要になる。
今回の新型コロナもSDGsの精神を持って解決すべき問題だ。新型コロナは貧困や差別の存在を浮き彫りにした。現在、南米やアフリカ、インドなどで感染が拡大しているが、その中心は貧困状態にある人たちが多く住むスラム。外出を自粛できる富裕層と違い、スラムに住む人々は働かないと日々の糧は得られない。ソーシャルディスタンシングなどを気にしていたら明日の食事にありつけない。そうした暮らしに新型コロナが忍びより、感染が拡大する。マダガスカルも新型コロナ対策による経済的な打撃で社会的不安が増幅するのが怖いという声も多い。
こうした事態を対岸の火事だと言えないのがコロナの怖いところだ。他国で感染が収まらなければ第二波として日本に再上陸する可能性がある。再上陸しなくても国境が閉じられることで経済への多大な影響は拭い去れない。
国連総会でSDGsが採択されてから5年になる。もう一度、その意味を再点検し、なぜ私たちが17の目標を同時に解決を目指さないと持続的な社会をつくれないのか。真剣に考えるべき時なのかもしれない。