脳のなかに控え選手を育てましょう!
日本認知症予防学会の浦上克哉先生とのお付き合いで一番印象に残っている言葉です。
脳にはそれぞれに特定の働きがあります。大脳には、言語、思考、感情、記憶などの機能の中枢があり、小脳は平衡感覚と筋肉運動の中枢、ホルモン分泌や自律神経の制御を行う間脳、聴覚や眼球運動に関わる中脳など、様々な機能を担っています。
それぞれの機能を担う部分が損傷すると、その働きが失われるかというと、そうではありません。脳梗塞で失われた脳の機能も、反対側の脳が肩代わりをすることで、機能が回復することなどもわかっています。
浦上先生の言葉は、脳の一部で認知機能の低下が起きても、他の部位が健全であれば、認知機能の低下は抑えられるという意味だと思います。
一般の人々は60歳前後で忙しい仕事から解放され、自由になる時間が増えてきます。そのおかげで日々の暮らしは「動」から「静」へと変化します。
「動」の暮らしをする現役世代は、仕事で使う脳が活性化しています。この時期は「静」の脳を育てておくことが大切です。音楽、芸術、スポーツ、旅行などを通して、「動」の脳を休ませて「静」となっている脳を動かしておくのです。
一方、現役を退いたら脳のなかの「動」を維持する必要があります。高齢になっても仕事を続けたり、町内会活動をしたり、ボランティアをしたり、社会的な活動を継続することで脳のなかに「動」を保ちます。運動をすることで「動」を支える血流量を増やすことも大切です。
自分の健康を守るために学ぶことはダブルの効果があります。
心地よく過ごすために学んで脳を活性化し、実際に行動に移すことでフィジカルもアップします。
「動中に静あり、静中に動あり」
これが基本だとつくづく感じます。