9月26日、岐阜県中津川市の馬篭ふるさと学校で実施されたシンポジウム「高齢者にやさしいまちづくり -マイカーに頼らない交通・物流の未来-」にパネリストとして参加しました。
高齢ドライバー問題の第一人者である山梨大学大学院教授の伊藤安海さんから「専門家ばかりで同じような結論に終始するシンポジウムではなく、多様な人の参加を得て新しい視点を模索したい」と声をかけられて参加することになったものです。
高齢者が起こす交通事故の報道が過熱し、免許の返納が当たり前のようになった日本社会ですが、クルマがないと高齢者が暮らしていけない地域があるのも事実。クルマを失うことが暮らしの質を大きく下げ、認知機能の低下をもたらしたり、高齢者の引きこもりを生んだりすることもあり得ます。
高齢者がマイカーに頼らなくても移動ができる社会づくりがセットでないと、不幸になる高齢者が増える可能性が高いわけです。
最近、防災・減災の視点から、「自助・共助・公助」の役割分担が語られますが、移動という視点からも、マイカーという「自助」とコミュニティバスという「公助」の間にある「共助」的ネットワークが必要なのではないかとの提案をさせていただきました。NPOが高齢者の移動をサポートすることはよくありますが、地域の移動の取り組みのなかに積極的に共助の流れを入れ込むことが重要なのではないかと考えています。
やはり共助の良さは自由度が高いことです。 それは営利事業でも非営利事業でも同じ。うまく動いてくれれば行政の予算だけでなく、寄付、企業からの補助、観光との相乗りなど、 行政の縦割りによって身動きが取れない公助にくらべ、かゆいところに手が届くサービスも生み出せます。
会場を提供した中津川市でも民間の事業者をサポートしながら、公共交通の未来を生み出す努力をされていました。
高齢者が引きこもらないようにするにはエンターテイメントも重要な要素です。コンテンツフォーケアでも音楽企画などを通し、高齢者が公共交通を活用して外出し、仲間とのコミュニケーションを楽しむなどのインセンティブづくりの取り組みも多くなってきました。
業界の壁を越えて高齢化社会を豊かにするソリューションを生み出すために、今回お会いした皆さまと一緒の活動が増えそうな予感がしています。
コンテンツフォーケア 上岡裕