RADIO BERRYで放送中の「ミュージックメモリー 〜音楽のSDGs」担当のケンです。
今日ご紹介するのはCaptain & Tennille「Love Will Keep Us Together」です。
A&Mレコードで男女デュオといえばカーペンターズですが、ちょうど彼らの人気が落ち着いた1975年頃、同じA&Mレコードからデビューし、お互いへの愛を歌うキャプテン&テニールは「第二のカーペンターズ」と言われました。
「Love Will Keep Us Together」はキャプテン&テニールが原曲ではなく、シンガーソングライターのパイオニア、ニール・セダカによって書かれたものでした。
彼の60年代に発表された初期の作品「カレンダー・ガール」や「すてきな16才」などは日本でも人気を博し、「カレンダー・ガール」は坂本九によってカバーもされました。
キャプテン&テニール版では当時流行していた楽器クラヴィネットが登場。クラヴィネットはスライ・ストーンや、スティービー・ワンダーが主に使用していたファンク、R&Bで活躍するもので、カーペンターズのようなポップスの領域で使用されることはけっこう珍しいケース。
ですが、ここではクラヴィネットの金属的な音色が甘い曲調に程よい緊張感を与え、さながら牛丼の紅しょうがのような存在感を放っています。
1975年当時はテレビからもラジオからもこの曲が四六時中流れていたそうなので、イギリスを代表する暗いバンドである彼らの耳にもこの明るいラヴソングが届きました。
発表から5年後、1980年に発表されたポスト・パンクを代表するバンド、ジョイ・ディヴィジョンが発表した名曲「Love Will Tear Us Apart」(愛が僕らを引き裂いていく)では、タイトルからわかるとおり「Love Will Keep Us Together」(愛が僕らを繋いでいく)のパロディとなっています。
ジョイ・ディヴィジョンのリーダー、イアン・カーティスは妻デボラとの関係がうまくいかず、ギクシャクしていたことをぶつけた歌詞だと言われています。
・・・実は「Love Will Keep Us Together」を発表した頃はキャプテン&テニールはまだ夫婦ではなかったことをふまえるとちょっとせつない事実かもしれません。
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