RADIO BERRYで放送中の「ミュージックメモリー 〜音楽のSDGs」担当のケンです。
今日ご紹介するのは太田裕美「さらばシベリア鉄道」です。
美少女ボイスの先駆け的存在である太田裕美の大滝詠一カバーですが、そこにはちょっとした秘密が!?
「さらばシベリア鉄道」といえばシティ・ポップの名盤「A LONG VACATION」を締めくくる一曲ですが、実はこの曲は太田裕美版が先に世に出ており、大滝詠一はセルフカバー扱いになっています。
ではなぜこの曲を太田裕美に提供することになったのでしょうか?
その答えはこの対談記事にありました。
https://gendai.media/articles/-/70872?page=2
『’80年当時、僕は裕美さんと並行して大瀧詠一さんを担当していました。9月半ばの深夜に、いつものようにスタジオで一人籠もって歌の録音をしていた大瀧さんから、自宅に電話がかかってきた。
「今録音した曲は太田裕美に合っていると思うんだけど、どうかな?」と受話器越しに聴かされた。それが『さらばシベリア鉄道』です。
たしかに、聴いているうちに裕美さんの歌声が僕の頭の中にも響いてきた。それでレコード化することにしたんです。』―――
ところが一方Wikipediaの記述では、
『大瀧はいったんレコーディングを始めたが、慣れない女言葉で歌うのを気持ち悪がり[1]、「ん?待てよ、この詞の構成はどっかで見た」と、同じ松本隆が作詞した太田の「木綿のハンカチーフ」と男言葉と女言葉が交互に出る歌詞の構成が同じであることに気付き、太田裕美が歌うのが良いのではないかと担当ディレクターが同じ白川隆三であったこともあり、太田裕美への提供を思い立ったという。』―――
大滝詠一はもう亡くなっているため、真実は定かではありませんが、歌詞の構成が木綿のハンカチーフに似ているというのは面白いですね。
また、この曲は太田裕美に大滝が渡したデモテープとは歌詞の譜割りが異なり、サビの「伝えておくれ 十二月の旅人よ」という部分はかなり分かりやすく異なっています。
この遊び心もまた福生の仙人と呼ばれた大瀧詠一の魅力の一つかもしれません。
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