RADIO BERRYで平日放送中の「ミュージックメモリー 〜音楽のSDGs」担当のケンです。
今日はMC・ハマーが1990年に発表したアルバム「Please Hammer, Don’t Hurt ‘Em」に収録された「U Can’t Touch This」のご紹介です。
1990年といえばアメリカではヒップホップがいよいよ音楽ジャンルとして根付きはじめたころ、まさに彗星のように登場したのが彼、MC・ハマーでした。
Rick Jamesの「Super Freak」を丸ごとサンプリングしたトラックに耳に残る独特なフレーズ「Can’t Touch This」や、当時最新のストリートダンスを取り入れたミュージックビデオなど、様々な要素が話題を呼び全世界的にヒット。
ダンス・ブームを巻き起こしました。
日本でもあのとんねるずがテレビ番組でパロディするほどに注目を集め、結果的にアルバム「Please Hammer, Don’t Hurt ‘Em」は1000万枚以上を売り上げ、今なおヒップホップ史上最大の売上を誇ると言われています。
一躍スターダムにのし上がったMC・ハマーでしたが、彼を待っていたのは同業者のラッパーたちからの批判の嵐でした。
当時ヒップホップにおいて売れるということは「セルアウト」(大衆に受けの良いポップな曲を作る)といわれ、忌み嫌われていました。
しかし、そうは言っても一発逆転を夢見ている以上みんな売上は欲しいわけで、誰が飛び出すかというラッパーたちのにらみ合いが続いているのを尻目に特大のヒット曲を出した彼は飢えた狼たちがひしめくなかで格好の標的になってしまったわけですね。
この大ヒットはヒップホップを全世界に知らしめた功績も大きく、とりあえずハマーを批判すれば話題になるということで、周辺のラッパーたちにも注目が集まり、結果的にはラッパーたちの争い(ビーフ)という文化が世界的に知られるきっかけにもなりました。
「軽薄すぎる」、「ダンスがダサい」などと散々な批判をされたMC・ハマーでしたが、良くも悪くも彼はヒップホップがメジャーになることに大きく貢献した人物と言えるでしょう。
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