前々回に「『フレイル』という言葉を知っていますか?〜シニア世代のウェルネス〜」というテーマで、『フレイル』について紹介しました。
この言葉は、65歳以上の高齢期にある方の心身の健康全体を表す言葉として使われ、英語でfrality(虚弱)という意味から来ています。
「フレイル予防」という言葉を見聞きしたことがあるかもしれませんね。
「虚弱予防」・・・つまり「老化防止」というところ。
このフレイルという言葉の概念を国民へ広く知ってもらおうと、
高齢者を研究し、周知している機関が「東京大学高齢社会総合研究機構」です。
背景にあるのは、
2025年以降、65歳以上となるいわゆる「高齢者」の人口がピークを迎え、それに対して若年層、中年層が少ないという人口比率となり、いわゆる「超高齢化社会」が到来します。
そのため医療に関わる日本の国の予算や資源(医療体制や技術、機具、医療関連従事者など)にプレッシャーが多くかかることを懸念し、たくさんの医療的介入を必要としない比較的元気な自立した高齢期の方々を、できるだけ増やし、その元気な期間をできるだけ長くーーー国は、それを予想図として目指しています。
そうしたことから「フレイル」という言葉を知ってもらい、
自分たちの生活スタイルに老化防止を取り入れてもらいたいという狙いがあります。
奇しくも、今年になって新型コロナウイルス感染症の拡大によって、
「フレイル」という言葉がさらに広がっているように思えます。
高齢者を特定にした医学会、日本老年医学会でも、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための3月からの自粛生活に対して、フレイル予防を呼びかけています。
フレイルは3本柱があります。
① 身体的(筋力)
② 心理的、認知的
③ 社会的
65歳以上を目安に、長く健康的に過ごすためにはこ3つに注意して暮らすことで
フレイル予防=老化予防につながります。
まず
① 身体的(筋力)フレイルについて。
これは筋力低下です。
筋力が落ちて長時間歩けない、立っていられない、立ったり座ったりがしにくくなるのが一つの目安。動くのが億劫になります。
そうなるとさらに筋力が落ちて、脚が上がらずにすり足になりつまづきやすい、転びやすいなどが心配されます。
「高齢期の人にとって、
2週間の寝たきりは7年分の筋肉のを失うことに等しい」といわれます。
私たちでもインフルエンザなどで3日間くらい寝込んだりすると、
快復してもすぐには起きられなかったり、
足が上がらなかったり、ギクシャクして、「あれ?」と思うことがあります。
「筋肉、落ちた〜」と軽口を叩いたりします。
つまり、そのぐらい簡単に筋力というのは簡単に落ちてしまう。
ミドルエイジの自分たちでさえそうなのだから、
衰えが早い高齢期の方はその分、注意が必要となってきます。
そこで、
今現在は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と猛暑で、
外出を控えるように注意していますが、
室内でもできる軽い運動を勧めています。
日常自宅の過ごし方のポイントは、「座ったきりにならない」。
テレビを見ていたら、CMの間はその場で足踏みする
テレビ体操、ラジオ体操を生活の中に取り入れる、
簡単なことでいいので、身体を動かすように心がけることを推奨しています。
今の時期なら、早朝や夕方など日照時間や人混みを避けた場所での散歩なども。
筋力の衰えで、転倒し骨折を招き、
寝たきりになってしまうとさらにフレイルの加速が心配されます。
自分のペースで、急いでやる必要はないので続けてみてください。
そして併せて気をつけたいのが、
「太っていること」より「痩せていること」を注視してほしいこと。
40,50代までは健康診断では、体重は「太る」ことを注意していました。それは中性脂肪やコレステロール、わかりにくい内臓脂肪などが病気を招く原因になるため健康的な体重数値を目安にし、食事制限など言われたりしました。
もちろん疾患があり、体重制限や血中成分などを言われて、専門的な治療をしている方は別ですが、60代、70代になったら「太るから」と気にしてカロリーや高栄養を気にして食事を意識して制限することをフレイルの観点からは注意しています。
「太っていることはよくない」という定説はミドルエイジまで。シニア世代は「痩せる」ことを心配して、しっかり食べることがフレイル予防=老化予防です。
前述の「東京大学高齢社会総合研究機構」では、「痩せ」をチェックする方法を提案しています。
① 両手を使って、親指と人差し指で輪っかを作ります。
② その円に「ふくらはぎ」当てる
③ 輪っかとふくらはぎにスキマがある場合は「痩せ」によるフレイルに注意
脚が細くなることがフレイル=老化の目安になります。
気になる人は、お試しください。
「脚は細いのがいいわ〜」というのは、若い人たちに譲りましょう
「動いて食べる」、今からでも身につけておこうと、
私自身も思います。
フレイル予防=老化予防について、
続きます
文:井上晶子