
ライツフォーグリーンでは、日本認知症予防学会からの相談を受けて、新型コロナの感染拡大のために家庭内で自粛する高齢者の認知機能を落さないための取り組みに協力している。
学会理事長のメディアへの出演や情報発信の呼びかけ、同じ方向にある事業の支援などが主な役割だ。
大切な認知機能を守るために「今」できること。日本認知症予防学会からの提言が届きました。
普段なら海に山に遊びに出かけるゴールデンウィーク。
高齢者のみならず、多くの人たちがその間もずっと「Stay Home」な暮らしを余儀なくされる。それによって新型コロナウイルスの感染拡大が抑止するわけだが、こうした自主隔離の暮らしによって精神的な痛みが多発する可能性が指摘されている。
世界で最も権威ある医学誌「ランセット」は3月14日、「The psychological impact of quarantine and how to reduce it: rapid review of the evidence」という論文を掲載している。
感染症の拡大防止のために行われた施策によって、自宅や特定の場所で隔離された人々に、どんな精神的インパクトが残されたかについて報告した3,166のレポートを調べ、その24本を中心に内容をまとめたものだ。
レビューに使われた研究のほとんどで、PTSD、精神的混乱、怒りなどのネガティブな精神症状が認められたことをが伝えられている。
精神的なストレスは、長期にわたる隔離、感染に対する恐怖、欲求不満、退屈、生活必需品の不足、不十分な情報提供、経済損失、スティグマ(社会的な差別)などがあげられる。
こうしたストレスが隔離終了後にも長く影響することを指摘する研究者もいる。
今回のように様々な形の隔離が必要な場合において、精神的なストレスを軽減するためには、隔離の不必要な長期化を避けること、隔離の明確な根拠や計画に対する情報を明示すること、生活必需品をしっかりと供給することなどがあげられている。
燃え尽き、PTSD、スティグマを防止するために
SNSなどを通した医療関係者からの情報提供によって、行動自粛をすることが多くの人の命を救うと理解する人は多くなっている。また、命がけでがんばっている医療関係者の貢献に対する社会的評価も日に日に増すばかりだ。
だが一方、そうした医療関係者や家族に対する言われなき差別や、感染に巻き込まれた企業や個人が中傷やデマで苦しんでいるのも現実だ。そういう意味では燃え尽き、PTSD、スティグマなどにつながる芽が出始めていると言えるだろう。
こうした問題に対して社会全体でどう対応するか。今からでもできることを行動に移しておく必要がある。
この論文は最後にこう訴える。
「自分たちの行動を自粛する行為が、多くの人々を助けることにつながることを知ってもらうことで、利他主義の心に訴えよう」
残念ながら人間と感染症の戦いはCovid-19の終息で終わるわけではない。
地球温暖化による自然破壊の進行とともに新たなる感染症が生まれる可能性も否定できない。始まったばかりの戦いで社会を分断している余裕はない。どうやって他者を思いやり、離脱者を減らし、長期戦を戦い抜くか。社会全体で考えるべき時なのだ。